研究課題
基盤研究(C)
ナトリウム利尿ペプチドファミリーは内因性の3種類のリガンドであるANP、BNP、CNPおよびその受容体GC-A、GC-Bから構成される。研究代表者らはこれまでに、そのうちのCNP-GC-Bシステムの強力な内軟骨性骨化による骨伸長促進作用と、軟骨無形成症モデルマウスにおけるCNPによる劇的な治療効果を証明した(Nat.Med 2004)。更にCNPは、FGFシステムのMAPKシグナル伝達系を介した基質産生抑制を回復することにより、骨伸長障害を改善することを証明してきた。当該研究においては、CNP-GC-BシステムとFGFシステムの細胞内シグナル伝達系の相互作用をさらに検討した。まず、FGFシステムは成長板軟骨において(1)MAPK系およびSTAT1系を介して作用するが、CNPはSTAT1系には影響を及ぼさないこと、(2)PI3キナーゼ/PKBを介するシグナル伝達系があり、CNPはそれを抑制するが、生体環境に近いと考えられるヘパリン存在下ではPI3キナーゼ/PKB系そのものが抑制されていること、を証明した。逆に、FGF2添加によるFGFシステムの賦活化は、CNP-GC-Bシステムのセカンドメッセンジャーである細胞内cGMP産生を濃度依存的に抑制したことから、成長板軟骨におけるCNP-GC-BシステムとFGFシステムの細胞内シグナル伝達系の相互作用が明らかとなった。一方、CNP-GC-Bシステムは様々な修飾を受けてその作用が調節されているが、そのうちのひとつであるCNPのクリアランス系に関して検討し、成長板軟骨において局所CNP濃度を調節するクリアランス系の存在と、その骨伸長調節作用の存在を示して、骨伸長促進系としてのCNP-GC-Bシステムの調節機構の一端を明らかとにした。
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