研究概要 |
1.アンジオテンシン・バゾプレシンデュアル受容体(ATAVPR)の遺伝子構造 我々のクローンしたmouse ATAVPRは、chromosome 7に位置していた。また当初クローンした断片で欠けていた部分を補うと、予想外にも翻訳開始部位のメチオニンはマウスではロイシンに置換しており、実際の翻訳開始点はアミノ酸192個上流に存在していた。最終的にmouse ATAVPRは、ratのそれと比較して179個長いアミノ酸を有していた。またゲノムDNAとの比較検討により、ATAVPR遺伝子は少なくとも5個のエクソンから成ることが明らかとなった。さらにヒトにも相同遺伝子が存在することを見出した(NM_138329)。 2.ATAVPR遺伝子は他の産物もコードしている。 Mouse ATAVPRのゲノム上の塩基配列をさらに詳細に解析し、また既知のcDNAデータベースと比較検討したところ、ATAVPR遺伝子のゲノムはいくつかの他の遺伝子も同時にコードしていることが明らかとなった。すなわち、より上流に転写開始点を持つNalp6,およびATAVP遺伝子転写開始点より下流に転写開始点を持つNACHTである。従って、同じゲノムの領域から異なった3つの遺伝子産物が発現していることになる。 3.ATAVPR遺伝子の発現分布 マウスの各臓器より、total RNAを抽出し、RT-PCRによりATAVPR mRNAの発現を検討した。その結果、ATAVPRは下垂体、視床、大脳皮質、海馬、小脳、肝臓、胆嚢、腎臓、副腎、大腸、精巣、白色脂肪細胞など、諸臓器に広汎に発現していた。一方、心臓での発現は弱く、骨格筋、皮膚、脾臓では発現を認めなかった。 4.ATAVPRの受容体としての機能解析 受容体としてのATAVPRの機能を解析する目的で、cDNA全長をクローニングし、発現ベクターを作成した。現在各種細胞に導入し、リガンド(バゾプレシン、アンジオテンシンII)による効果を検討中である。
|