研究課題/領域番号 |
17590965
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
永山 雄二 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30274632)
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研究分担者 |
齊藤 巨樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60380961)
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キーワード | 自己免疫 / バセドウ病 / 甲状腺刺激ホルモン受容体 / サイトカイン / アデノウイルス / 甲状腺 |
研究概要 |
(1)CD4+CD25+調節性Tリンパ球による疾患発症制御:抗CD25抗体によるCD25+細胞の除去は、バセドウ病抵抗性マウスであるC57BL/6マウスの約30%に疾患発症を誘導した。一方バセドウ病好発マウスであるBALB/cマウスでは疾患発症率は上昇しなかったが、血中T4値が約2倍と有意に上昇した、すなわち疾患の重症度が上昇した。この作用は刺激型抗体産生増強と阻害型抗体産生低下によると考えられた。この作用はCD4+CD25+ T細胞移入により消失したことにより、抗体投与によるCD4+CD25+ T細胞除去の効果であることが確認された。また、バセドウ病を発症したマウスの脾細胞をnaiveマウスに移入して抗TSH受容体抗体産生能を検討したところ、直接の移入では抗体産生は認められなかったが、脾細胞からCD25+細胞を除去すると低いながら有意な抗体産生能が見られた。以上より、抗TSH受容体免疫反応におけるCD4+CD25+ T細胞の抑制的作用が明らかとなった。 (2)調節性サイトカイン・調節性樹状細胞による疾患発症制御:TSH受容体発現アデノウイルスによる免疫の際、調節性サイトカインであるIL-10或いはTGF-beta発現アデノウイルスを同時投与した。IL-10発現アデノウイルス使用の際のみに有意な疾患発症抑制効果が見られた。TGF-beta遺伝子はlatent typeを用いたので、active typeの使用を次に考える必要がある。TSH受容体発現アデノウイルスを感染させた樹状細胞による免疫にてもバセドウ病発症が見られるので、上記の調節性サイトカイン発現アデノウイルスの共感染の影響を検討したが、ウイルスの2重感染は樹状細胞の機能を低下させるという問題に直面した。今後、1つのアデノウイルスから2つの遺伝子を発現させる、或いは抗原投与をアデノウイルスを使用せずに蛋白等に切り替えるなどの工夫が必要と考えられる。
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