研究課題/領域番号 |
17590969
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
芝崎 保 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (00147399)
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研究分担者 |
根本 崇宏 日本医科大学, 医学部, 助手 (40366654)
眞野 あすか 日本医科大学, 医学部, 助手 (50343588)
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キーワード | グレリン / グレリン受容体 / 褐色脂肪組織 / エネルギー代謝 / 迷走神経節 / 視床下部 |
研究概要 |
胃で発見されたグレリンは、投与実験の結果から成長ホルモン(GH)分泌促進作用、摂食促進作用、脂肪蓄積作用を有することが明らかにされている。しかしながら、エネルギー代謝調節機構における内因性グレリンとグレリン受容体の作用および機能の詳細は明らかでない。主なグレリンの発現部位は胃であるが、視床下部にもグレリンが発現し、その受容体は中枢神経系と末梢組織に存在する。そこで、申請者らはtyrosine hydroxylaseのプロモーターの下流にグレリン受容体のantisenseを挿入した導入遺伝子を用いてグレリン受容体発現抑制トランスジェニック(Tg)ラットを作成し、その表現型(GH分泌低下、低体重、低体脂肪を呈する)を解析することによりグレリンおよびその受容体の機能解析を進めてきた。昨年度に、グレリンの静脈内投与が、正常ラットでは褐色脂肪組織内のアドレナリン分泌を抑制すること、Tgラットでは正常ラットに比較し有意に迷走神経節のグレリン受容体発現が抑制されていることを明らかにしたことを基に、今年度には、グレリンの静脈内投与による褐色脂肪組織内のアドレナリン分泌抑制作用が迷走神経切除ラットでは消失すること、同作用がTgラットでは認められないことを明らかにした。これらの結果から、末梢グレリンは迷走神経を介して褐色脂肪細胞の働きを抑制している可能性が示唆される。また、グレリン受容体発現が抑制されているTgラットではグレリンによる褐色脂肪細胞機能抑制作用が障害されているためにエネルギー消費が亢進しており、低体脂肪を呈すると考えられる。さらにグレリンの正常ラット視床下部室傍核への局注が褐色脂肪組織内のアドレナリンの分泌を抑制することを明らかにした。同部にはグレリン受容体の発現が認められており、エネルギー代謝調節機構におけるグレリンの中枢作用部位の一つとして視床下部室傍核が示唆された。
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