研究課題/領域番号 |
17590973
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
田上 哲也 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌研究部・分子内分泌研究室, 室長 (60273439)
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研究分担者 |
森山 賢治 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌研究部・分子内分泌研究室, 研究員 (00301739)
成瀬 光栄 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌研究部・分子内分泌研究室, 部長 (40120018)
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キーワード | 甲状腺ホルモン / 核内受容体 / 甲状腺ホルモン受容体 / クローニング / 転写因子 |
研究概要 |
甲状腺ホルモン受容体TRαとTRβはコードされる染色体が異なるが、どちらも甲状腺ホルモン(T3)の受容体として機能し、in vitroでは機能の区別はっかない。TRαとβはそれぞれ別の染色体に存在し、遺伝子配列が大きく異なるにもかかわらず、翻訳されるアミノ酸配列は極めて相同性が高い。特にアミノ酸配列が一致する領域は、受容体活性を維持する上で必須と思われる。そこで新たなアイソフォームを検索すべく、αβ共通のアミノ酸配列に相当する遺伝子配列をクローニング用PCRプライマーとして設定し、ネガティブフィードバックなどTRの機能上非常に重要な役割を担うヒト下垂体をテンプレートに用いてPCR法を行った。その結果、未知の塩基配列を含むクローンを得た。すなわちTRβのリガンド(T3)結合領域をコードする第5エクソンと第6エクソンの間に137bpの挿入を認めた。この配列はヒトゲノム上、第5イントロン内に見いだされ、両端にはコンセンサススプライス配列を確認した。RACE解析により、このアイソフォームの5'と3'はTRβ1と共通で、挿入部分中央にはストップコドンが存在し、TRβ1とN末端を共通とするスプライスバリアントであることが判明した。これをTRβ4と命名した。RT-PCRとノザンブロット解析により、β4mRNAは種々の組織に発現していたが、特に骨格筋に豊富であることがわかった。β4蛋白はT3と結合せず、T3による転写調節を媒介しなかった。しかし、β4はα2同様、機能的TRであるα1、β1、β2の転写調節能を阻害した(ドミナントネガティブ作用)。その程度は、甲状腺ホルモン不応症に見いだされる異常TRの強い阻害効果より軽度であった。TRβ4はDNAと結合したが、RXRやコリプレッサーといったコファクターとの結合は最小限であることがその要因と考えられた。 生体におけるα2の機能はいまだ不明であるが、T3作用のモデュレーターと考えられており、このβ4と合わせてα/β系各々の調節因子として、組織、細胞毎に甲状腺ホルモン作用システムに干渉していることが想定された。
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