研究課題/領域番号 |
17590974
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
宮里 幹也 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 室長 (50291183)
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研究分担者 |
寒川 賢治 国立循環器病センター(研究所), 副所長 (00112417)
中里 雅光 宮崎大学, 医学部, 教授 (10180267)
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キーワード | 摂食調節ペプチド / オーファン受容体 / neuromedin S / neuromedin U / グレリン |
研究概要 |
肥満は、高血圧・心血管障害・糖尿病などの疾患を頻発させ、その治療と予防は医学的・社会的に大きな課題である。本研究では、新たに同定した生理活性ペプチドに関して、特に摂食・エネルギー代謝調節における機能解析を行うと共に、加えて新たな摂食調節関連ペプチドを同定することを目的とした。 申請者らは、最近、オーファン受容体発現細胞系を用いたアッセイ系によるリガンドスクリーニングにより、neuromedin S(NMS)と命名した新規の生理活性ペプチドをラットの脳より単離した。本ペプチドは、その生理作用の一つとして摂食抑制作用を有することが判明した。ラットの脳室内投与によりNMSの摂食抑制作用を検討した結果、neuromedin U(NMU)よりも強力に暗期摂餌量を減少させ、グレリンやNPY、AGRPの摂食促進作用を阻害した。NMS投与後にPOMCとCRHの遺伝子発現量が上昇すること、α-MSHアンタゴニスト・CRHアンタゴニストの前投与によりNMSの摂食抑制効果が低下することから、NMS脳室内投与による摂食抑制にはα-MSHおよびCRHが関与していることが示唆された。 また、摂食促進ペプチド:グレリンの妊娠中の生理作用として、母体のグレリンが胎児発育に重要な役割を担っていることを明らかにした。さらに、脂肪酸修飾がないグレリン(デスアシル・グレリン)のラットおよびマウスの脳室内投与でも、摂食促進作用が認められ、この作用はグレリン受容体を介する作用ではないことを証明した。 新たな摂食調節関連ペプチドの探索を目的として、脳、消化管および脂肪組織に発現する6種類のオーファン受容体の安定発現細胞株を作製した。また、オーファン受容体を用いた新規内因性リガンドの探索ための新たな方法としてBRET(Bioluminescence Resonance Energy Transfer)法を用いたアッセイ法を確立した。
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