研究概要 |
SV40T抗原を導入したトランスジェニックマウスより樹立した骨髄間質細胞株は、コロニー形成を支持する造血前駆細胞のlineageにおいて明瞭な選択性を示した。この選択性を規定する分子を同定するために、赤芽球コロニー形成を支持する細胞株3種類(E+:TBR9, 184, 31-2)と支持しない細胞株3種類(E-:TBR17, 33, 511)を選択し、DNAマイクロアレイ法を用いて解析した。その結果得られた候補遺伝子のうち、前回、Tenascin-Cが赤芽球造血に重要な役割を果たしていることを証明して報告した(Exp Hematol 34:519-527, 2006)。今回、他の候補遺伝子のうち2810021G24とdelta-like 1の解析を行った。 まず2810021G24はE+でE-の14.0倍の発現を示した。2810021G24に対するsiRNAを作成し、TBR9に導入し発現量を定量PCRにて調べたところ、コントロールsiRNAと比べて59%の抑制が得られた。このsiRNAを添加することによってTBR9細胞株においての赤芽球コロニー形成能の低下が認あられ、2810021G24の赤芽球系造血への関与が示唆された。さらに2810021G24ノックアウトマウス作製による機能解析を試みたが結果は得られなかった。 次にdelta-like 1はE-でE+の20倍の発現を示した。しかし、delta-like 1に対するsiRNAを作成してTBR17細胞株で赤芽球コロニー形成能を調べたが、変化は認められなかった。従って、delta-like 1が単独で赤芽球コロニー形成支持能を抑制している可能性は否定的と考えられた。
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