研究課題
本研究は、川端が代表研究者として平成17年度に開始された。平成18年度に樗木が引き継ぎ、研究を統括する形で樹状細胞(DC)による造血制御の研究が恙無く遂行された。平成18年度は、平成17年度から引き続いて以下の目的で検討を行ない、以下の成果を得た。目的1)DCによる自己造血前駆細胞の貧食と自己T細胞への増殖シグナルが赤芽球系に限らない普遍的現象であることを証明する。(成果)巨核球系前駆細胞誘導系においても造血刺激と炎症性刺激(TNF-α)の共存によって自己造血前駆細胞の食食が誘導されることを明らかにした(Blood)。目的2)それぞれの前駆細胞を貧食するDCの系統と機能が異なることを証明する。(成果)巨核球系誘導系で発生するDCは自己リンパ球の増殖誘導活性を有していたが(Blood)、好中球系誘導系で発生するDCは自己リンパ球の増殖誘導活性を有しなかった。このことから、それぞれの前駆細胞を貧食するDCの系統と機能が異なることを明らかにした(投稿準備中)。その相違について検討を継続中である。目的3)DCの遺伝子発現パターンを統合的に比較・解析し発生・分化および免疫学的記憶に関与する分子基盤を明らかにする。(成果)通常のDCと自己造血前駆細胞を貧食したDCのDNAプロファイリングを実施し解析を継続中である。目的4)骨髄を"場"としたDCによる自己造血前駆細胞の貧食が種々の血液疾患の病態形成に関与することを明らかにする。(成果)血球貧食症候群における貧食細胞がDCである可能性を世界で初めて示した(Blood)。血球貧食症候群の治療としてTNF-α阻害剤の有用性が示唆され、さらに検討を進めている。目的5)DCによる炎症性疾患誘導機構を明らかにする。(成果)DC由来のIL-15こそが肉芽腫形成やエンドトキシンショックの誘導に必要であることを示した(JExp Med)。
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