研究概要 |
今回の科学研究費基盤研究(C)(平成17-18年度)(研究費3,500千円)において、我々は、細胞の分裂および分化に重要な新規遺伝子MgcRacGAP (Kawashima et al.,Blood,2000: Hirose et al, J.Biol.Chem.,2001: Minoshima et al.,Dev.Cell,2003: Tonozuka et al.,Blood 2004: Kawashima et al., J.Cell.Biol.,2006.)をbaitにyeast two-hybrid法にて同定したKLIP1の機能解析をおこなった。当初、KLIP1は他のグループから転写抑制因子であるとの報告(Pan et al. J Virol.2003)がなされていたが、我々はこの分子が恒常的にセントロメア領域に局在することを明らかとした。そしてこの分子は、セントロメアタンパクの慣例にならい、また分子量が50kDaだったことからCENP-50(Centoromere protein 50kDa)と改名されることとなった。さらに我々は、ニワトリDT40細胞を用いてCENP-50の遺伝子破壊細胞を樹立した。すると、この遺伝子破壊細胞の増殖速度は著しく遅く、分裂期の染色体分配には分配異常が認められた。また興味深いことに、CENP-50はスピンドルチェックポイントからの回復に極めて重要な分子であることが判明した。この結果は論文発表している(Minoshima et al., Mol.Cell.Biol.,2005)。さらに我々はCENP-50がセントロメアに局在するのに必要な領域を同定し、この領域がもつ機能を明らかとしており、現在論文投稿の準備を進めている。
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