研究概要 |
我々は、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群こおけるSurvivinの発現解析を実施してきたが、その過程でSurvivinの新規のスプライス・バリアントが存在することを発見しSurvivir-3Bと命名した(GenBank accession No. AB154416)。MDS(骨髄異形成症候群),AML, CML症例および胃癌、大腸癌由来の細胞株におけるSurvivin-3Bの発現をRT-PCR法を用いて検討した。その結果MDSのRAEB-T, RAEB, RAおよびMDS-overt leukemiaにおいて、AMLと比較しても、より高率にSurvivin-3Bの発現を認めた。また正常な骨髄では発現を認めなかった。固形腫瘍である胃癌、大腸癌においても培養細胞株KATO-III, LoVo, Colo320などにおいてSurvivin-3Bの発現を認めた。Survivin-3BのcDNAをヒト大腸がん由来の細胞株LovoにトランスフェクションしSurvivin-3Bを過剰発現する細胞株を作成した。これに対して、抗腫瘍剤であるシスプラチンを加えて、殺細胞効果を親株と比較したところ有意に殺細胞効果の減弱が認められた。Survivin-3Bに対するsiRNAを組み込んだレンチウイルス粒子を作成し感染させたところ発現抑制および細胞死誘導が確認された。またGFPをSurvivin-3BのN末端に融合させた蛋白を培養白血病細胞株にトランスフェクションして、その細胞内の局在を観察したところ明瞭に細胞質に分布する細胞と、核内に分布する細胞の両者が観察された。細胞周期により異なる可能性が推論された。
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