研究概要 |
インテグリンシグナルと種々のキナーゼシグナル伝達系との関連を証明するために、研究者は当該研究期間において以下の様な実験を行った。High affinityαvβ3インテグリンを特異的に認識するモノクローナル抗体WOW-1を使用して、インテグリン活性を測定した。細胞外からの刺激によるインテグリンの活性化に先立ちphosphatidylinositol 3-kinase(PI3-キナーゼ)並びにその下流のセリンスレオニンキナーゼのAktのリン酸化が認められた。PI3-キナーゼ阻害剤であるwortmannin, LY-294002を使用することによりインテグリンの活性化が抑制された。実際に細胞内にphosphatidylinositol 3,4,5-triphosphate(PIP3)を導入することによりインテグリンの活性化が認められた。上記の実験結果からPI3-キナーゼがインテグリンのinside outシグナリングに重要な働きをしていることが確認された。また、研究者はインテグリンと細胞外マトリックス蛋白フィブロネクチンとの結合を抗体により阻害することで、c-Jun NH2-terminal kinase(JNK/SAPK)のリン酸化が抑制されることを証明した。これらの研究成果はインテグリンと種々のキナーゼシグナル伝達系との関連を証明するものである。これらの研究成果をもとに、現在FLT3の恒常的活性化がインテグリン活性に及ぼす影響を検討中である。
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