研究課題/領域番号 |
17590989
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
勝見 章 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 特任講師 (80378025)
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研究分担者 |
貝淵 弘三 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00169377)
直江 知樹 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50217634)
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キーワード | インテグリン / FLT3 / チロシンキナーゼ / P13K / 細胞接着 / 細胞外マトリックス / 急性白血病 |
研究概要 |
FLT3/ITD変異を持つヒト白血病細胞株または野生型ならびに変異FLT3遺伝子導入をした32D細胞を用いて1)インテグリン活性化に関与するシグナル伝達系の解明、2)FLT3遺伝子異常とインテグリン機能の関連につき基盤的研究を行い下記の結果を得た。 1.FLT3の恒常的活性化により白血病細胞のフィブロネクチン(FN)等の細胞外マトリックスヘの接着が亢進していることがすでに判明している。今年度我々は白血病細胞とストローマ細胞との接着につき解析した。マウス骨髄由来ストローマ細胞HESS-5との接着によってのみ生存、増殖することができるヒト白血病細胞株NAMO-2はFLT3/ITD変異を有している(Abe A et al.,Int J.Hematol.2006). HESS-5上に接着したNAMO-2細胞にFLT3阻害剤を加えることにより接着が阻害されることが明らかになった。 2.我々はVCAM1-Fcキメラ蛋白を使用したFACSによるα4β1インテグリン活性測定系を確立した。FLT3/ITD発現32D細胞にFLT3阻害剤を加えることによりα4β1インテグリン活性が低下することが証明された。一方で野生型FLT3発現32D細胞にFLT3 ligandを添加したところα4β1インテグリン活性上昇が証明された。以上のことから変異FLT3シグナルはα4β1インテグリンの活性(inside-out signaling)を亢進させることが強く示唆された。 以上の研究により恒常的活性化FLT3がインテグリン活性化を介して白血病細胞のFNやストローマ細胞上への接着を制御していることが証明された。FLT3/ITD変異を有する白血病の予後に骨髄ニッチヘの接着による白血病細胞の残存が関与している可能性がある。
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