我々はこれまでヒト末梢血単球の真皮型樹状細胞への分化の制御機構におけるサイトカインの役割についての研究を遂行してきた。本研究では、B細胞の抗原提示細胞への分化とホジキンリンパ腫の病態との関連性について研究を開始した。その過程で、ヒト末梢血単球が皮膚環境で産生されるNotchリガンドDelta-1、GM-CSF、TGF-β1の存在下でLangerhans細胞に分化することを見出した。これらの細胞はCD1a、E-Cadherin、Langerin、CCR6を発現し、Birbeck顆粒を有していた。また、貪食能とMIP-3αに対する走化性を示した。TNF-αとCD40リガンドで分化させると、MIP-3βに対する走化性を獲得し、CD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞を刺激した。GM-CSFとIL-3はシグナル伝達に関与する受容体subunitを共有するが、IL-3は皮膚環境において構成的には産生されていない。そこで、末梢血単球のLangerhans細胞への分化におけるGM-CSFの皮膚環境での位置づけをより明確にするために、GM-CSFとIL-3を比較検討した。GM-CSFをIL-3に替えて培養すると、末梢血単球はLangerhans細胞へ分化しなかった。末梢血単球のLangerhans細胞へ分化におけるGM-CSFの不可欠性を示している。予備的実験において、遺伝子の発現プロファイルをmicroarrayで解析したところ、GM-CSF+TGF-β1+Delta-1で生成されたLangerhans細胞とIL-3+TGF-β1+Delta-1で培養された細胞は、異なったプロファイルを示した。末梢血単球のLangerhans細胞へ分化における皮膚環境の重要性を示している。
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