研究課題
基盤研究(C)
患者ATL細胞・HTLV-I感染T細胞株MT-2のRT-PCRにおいて、TLR mRNAが発現していることを証明した。TLRアダプター蛋白MyD88・IRAK1はHTLV-I感染T細胞株MT-2・MT-4・HUT102において恒常的に活性化されていた。一方HTLV-I非感染T細胞JurkatなどのT細胞株では非活性型として存在した。さらに、ドミナント・ネガティブ型MyD88蛋白の細胞内発現によるMyD88の抑制は、MT-2におけるNF-κB・NF-IL6・TNFおよびIL-1・IFNプロモーターなどの恒常的活性化を抑制し、MT-2の増殖を抑制し、早期アポトーシスを誘導した。一方、Jurkat T細胞の早期アポトーシスは誘導しなかった。また、ドミナント・ネガティブ型MyD88蛋白はMT-2におけるStat3活性化には影響を与えなかった。HTLV-I Tax蛋白は、単独でNF-κBを活性化したが、MyD88の存在下、相乗的にNF-κBを活性した。TLRは自然免疫を担当し病原微生物の構成成分を認識する受容体であるが、我々の結果よりATL細胞におけるTLRシグナルはMyD88を中心にNF-κB異常活性化に関与し、TLRシグナルとTaxとの相互作用が存在した。MyD88を不活化することで、ATLにおいて恒常的に活性化している種々のサイトカイン遺伝子や転写因子を抑制することができ、腫瘍細胞の増殖抑制・アポトーシス誘導に成功した。TLRシグナルのATL細胞の増殖に及ぼす影響を検討した報告はなく、本研究はユニークなものである。本研究は現在有効な治療法の存在しないATLに関して、新たな治療分子標的を示すものであり、社会還元を期待できる有益な研究と考えられる。
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