研究課題
基盤研究(C)
1.T細胞エピトープのアナログペプチドによるSSの制御唾液腺浸潤T細胞の自己抗原の候補として、唾液腺特異的に発現し、唾液分泌に関連するムスカリン作動性アセチルコリン受容体(M3R)に焦点をあてた。1)T細胞エピトープの解析(1)M3RのT細胞エピロープ解析:先行実験でM3R反応性T細胞が認められたSS患者の多くがHAL-DR B1^*0901を有していたため、B1^*0901に結合するアンカーモチーフを含むVPPGECFIQFLSEPT(AA215-229)をM3Rの細胞外第二ドメインのT細胞エピトープと決定した。(2)M3Rのアナログペプチド解析:9種類の変異ペプチド(M3R AA215-229)を作成してアナログペプチドの選定を行った結果、HLA-DR B1^*0901陽性SS患者におけるアナログペプチドはVPPGECFKQFLSEPT(AA222I→K)とVPPGECFIAFLSEPT(AA223Q→A)であることが判明した。(3)M3R誘導唾液腺炎モデルマウスの作成:M3Rの細胞外第2ドメインをコードする25マーの合成アミノ酸(KRTVPPGECFIQFLSEPTIT FGTAI, AA 212-236)を100μgのCFAと同時にC57BL/6(B6)マウスの皮内に注射することにより、抗M3R抗体産生による唾液腺分泌障害モデルを作成した。2.SSの疾患感受性遺伝子解析SSの発症に関与する疾患感受性遺伝子を特定するために、SS患者由来の唾液腺、および、コントロールの唾液腺を対象として、cDNA microarray法を用いて解析した結果、INF-γ inducible geneの一つであるSTAT1-αが唾液腺上皮細胞で特異的に発現し、Tyr701,Ser727のリン酸化も認められた。さらに、Fas遺伝子発現の増強、IP-10やRF-1などのSTAT1関連遺伝子の発現もみられた。SSの唾液腺上皮細胞におけるSTAT1-αの活性化は唾液腺をアポトーシスに誘導し破壊する機序として重要であることが判明した。
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