1)関節リウマチ(RA)患者25名および健常人20名の末梢血単核球中のTTP遺伝子発現を定量したところRA群で健常群より有意に高値であった。炎症反応と明らかな関連は見られなかった。健常人においては、TTP遺伝子と、TTP同様TNFα mRNAのAU-rich elementに結合するHuR遺伝子発現との間に有意な正の相関が見られた。このような相関はRA群では見られなかったが、これらの患者に抗TNFα抗体製剤であるInfliximabを投与し2週後に採取した検体では有意な正の相関が見られ、RAの病勢の高い時期にはこれら遺伝子の発現調節に異常がある可能性が示された。2)RA患者末梢血単核球中のHuR遺伝子発現はInfliximab有効例で無効例より低値である傾向が見られた。3)RA患者および健常人各10名のTTP遺伝子の全長を解析し、プロモーター領域(-194)にA/Gの一塩基遺伝子多型を認めた。遺伝子型GGのRA患者は他の遺伝子型の患者と比較し発症年齢がやや若く、Infliximabを導入されている比率が高い傾向が見られた。4)ヒトT細胞株であるJurkat細胞にレトロウイルスベクターを用いてTTPあるいはその活性部位であるZinc finger domain遺伝子を導入することにより、LPS刺激によるTNFα遺伝子発現増強を抑制しうることを明らかにした。5)TTPおよびそのZinc finger domain遺伝子過剰発現マウスを作成中であり、Zinc finger domain遺伝子過裂発現マウスに関し、mRNAレベルでの発現増強を確認した。6)これらの検討によりTTPおよびその関連分子がRAの病態に影響を与えている可能性、また患者末梢血を用いてそれら遺伝子の一塩基多型や発現を解析することによりRAの病勢や重症度をある程度推定しうる可能性が示された。
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