研究課題/領域番号 |
17591029
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中島 裕史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00322024)
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研究分担者 |
渡邊 紀彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (20375653)
加々美 新一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30375654)
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キーワード | 樹状細胞 / IL-4 / IFN-γ / Stat6 / Stat4 / T-bet |
研究概要 |
気管支喘息をはじめとする慢性アレルギー性炎症の惹起にはTh2細胞の産生するサイトカインが深く関与している。なかでもIL-4は、Stat6の活性化を介してTh2細胞のさらなる分化増殖を誘導するため、IL-4産生→Stat6活性化→IL-4産生の悪循環の阻止がアレルギー性疾患の治療法として有望視されている。一方近年、本研究者らは、T細胞に対してはIL-4産生を誘導するIL-4が、形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid DC : PDC)に対してはStat6依存的にIFN-γ産生を誘導することを見出した。すなわち、PDCにはIL-4-Stat6の悪循環を断ち切る分子機構が内在していることが示唆される。そこで本研究では、PDCにおいてIL-4刺激からIFN-γ産生に至る分子機構の解明を目指した。その結果、a)IL-4は、PDCにおいて、Stat6依存的にStat4の発現を誘導すること、b)Stat4を発現したPDCのみがIFN-γ産生能を獲得すること、c)PDCにおけるIL-4依存的IFN-γ産生はStat4欠損PDCでは認められないこと、d)IL-12等、既知のStat4を活性化するサイトカインはIL-4依存的IFN-γ産生に関与していないこと、e)PDCをIL-4で刺激してもT-betやGATA-3の発現は変化しないことを明らかにした。この研究成果を受け、平成18年度は、抗Stat6抗体を用いたクロマチン免疫沈降クローニング法によりPDCにおけるStat6ターゲット遺伝子群の網羅的解析を行うとともに、IL-4で刺激されたPDCにおいてStat4を活性化するサイトカインを同定し、アレルギー疾患治療の新たな標的分子を見出すことを目的とする。本研究により得られる成果は、PDC特異的なIFN-γ産生機構の解明という生物学的観点のみでなく、本機構を利用したアレルギー疾患治療への応用という臨床的観点からも極めて重要と考える。
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