研究課題/領域番号 |
17591030
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
渡辺 紀彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (20375653)
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研究分担者 |
中島 裕史 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00322024)
廣瀬 晃一 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90400887)
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キーワード | 副刺激分子 / BTLA / T細胞 / トラフィッキング / 免疫シナプス / 自己免疫疾患 / ノックアウトマウス / 遺伝子多型 |
研究概要 |
研究代表者らは、Th1細胞特異的に発現される分子をDNAアレイ法にて網羅的に解析し、新規抑制性副刺激分子としてB and T lymphocyte attenuator(BTLA)を同定した。しかし、BTLAの分子レベルでの抑制機構及びその自己免疫疾患発症制御における役割は未だ不明である。そこで本研究では、BTLAのT細胞活性化抑制機構、さらにマウス自己免疫疾患モデル及びヒト各種自己免疫疾患発症におけるBTLAの役割を解析した。 その結果、1)BTLAはT細胞内において定常状態では細胞質内に貯蔵され、活性化刺激により細胞表面に移行すること、2)抗原刺激の際にはBTLAは抗原提示細胞との間に形成される免疫シナプスに局在することを明らかにし、BTLAによる効率的な抑制性シグナル伝達機構を解明した。また、3)自己免疫疾患自然発症モデルマウス(1prマウス)にBTLA欠損を導入すると、1prマウスに見られる腎、肺、関節、唾液腺における自己免疫性臓器障害が著明に増悪することを見出し、1prマウスにおける自己免疫応答をBTLAが抑制していることを明らかにした。さらに、BTLAとヒト自己免疫疾患発症との関連を解析し、4)日本人集団では、BTLA遺伝子の翻訳領域内に10個の単塩基多型(SNPs)が存在すること、5)590A/C遺伝子多型と関節リウマチの発症との間に相関があることを明らかにした。今後、これらの研究成果を発展させることにより、自己免疫応答制御におけるBTLAの役割の包括的な解明が可能と考える。
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