CD4(+)CD25(+)制御性T細胞(以下Treg)は、免疫系のホメオスタシス維持の上で重要な役割を担っている。自己免疫疾患や関節リウマチ患者では、Tregは既に減少(或いは機能低下)した状態と考えられ、このTregを新たに誘導し、その細胞数、機能を制御することができれば、生体内のホメオスタシス回復という新しい形の治療が可能になると考えられる。 Treg特異的な転写因子Foxp3は、ヒトではTregでない通常のT細胞でも誘導されることが判明しているので、Foxp3のTregでの恒常的発現へと繋がる機序の解明がTregの分化誘導とその制御機構の解明に重要だと考えられる。そこで、本研究では、このFoxp3の発現調節機構を明らかにし、自己免疫疾患患者末梢血由来T細胞をTregへと再分化誘導する治療法の開発をめざす。 平成17年度は、まずFoxp3発現安定化に関与すると考えられる分子の単離を行った。 TregよりpolyA選択にてmRNAを調整し、二本鎖cDNA合成後、pGADT7-Recに組み込み、酵母Y187株に導入した酵母ライブラリーと、ベイトとして、FOXP3 cDNA全長或いは断片をpGBKT7に組み込み、それを酵母株AH109株に導入して、この両者を接合させ、栄養要求性を指標に、候補遺伝子を持つと考えられる酵母クローンを約40個選択した。そしてpCMV-Mycに組み込んだ候補cDNAと、pCMV-FLAGに組み込んだFOXP3全長或いは断片とを、293細胞及びJurkat細胞にco-transfection後、cell lysateから抗FLAG抗体を用いて免疫沈降し、抗Myc抗体にて可視化することで、associationが確認された15個のcDNAクローンを単離した。さらに、レトロウィルスベクターを用いてマウス脾臓CD4陽性T細胞にFoxp3を強制発現Foxp3させ作成した制御性T細胞にて確認した。現在この中のSOCS3に注目し、RNAiを用いてその機能解析を進めている。
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