研究概要 |
抗CCP(環状シトルリン化抗体は関節リウマチ(RA)の診断マーカーや予後予測因子として有用な新規の自己抗体である。しかし、抗CCP抗体がリウマトイド関節炎の結果として産生される疾患標識マーカーであるのか、あるいはPeptidylarginihe deiminses(PADls)によるペプチドのシトルリシ化修飾や抗CCP抗体の出現がRAの病態形成に関与するのかは明らかではない。これまでに抗シトルリン化ペプチド抗体の対応抗原としては、シトルリン化フィラグリン、シトルリン化フィブリノーゲン、シトルリン化ビメンチンが報告されている。しかし、RA特異的シトルリン化抗原についての詳細は不明な点が多い。本研究では、in vitroでシトルリン化した滑膜細胞ライセートやリゴンビナントp53抗原あるいはフィブリノーゲン由来ペプヂド(アルギニンをシトルリンに置換)を用いて、新規の抗シトルリン化ペプチド抗体アッセイ系を作成した。これらの新規抗シトルリン化ペプチド抗体は感度の点では既存の抗CCP抗体に及ばなかったが、その反応パターンによりRA患者を分類することが可能であった。また,RA関節液からプロタミン結合分画ペプチードとしてシトルリン化抗原を粗精製することが可能であった。さらに、抗シトルリン化フィブリノーゲンに対するモノクローナル抗体を用いてRA関節液特異的にシトルリン化フィブリノ一ゲンを同定・定量化した。今後、これらの新規抗シトルリン化ペプチド抗体やシトルリン化抗原の研究を進めることにより、関節リウマチの病態解明(生物学的製剤への効果予測含む)に役立つものと期待される。
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