全身性エリテマトーデス(SLE)における特異的な免疫抑制療法の開発のため、申請者はループス自己抗原反応性T細胞を用いたワクチネーションを行い、ループス自己抗原(ヌクレオソーム)反応性CD4+Th1細胞を用いたワクチネーションがSLEのモデルマウス(MRL/1prマウス)の治療として有効で、その機序としてT細胞レセプター(TCR)のVβ-CDR3に対する抑制抗体と自己反応性T細胞傷害性CD8およびCD4陽性T細胞が誘導されることを報告してきた。ループスのモデルマウスであるMRL/1prマウス脾細胞から自己反応性T細胞(ART-S)を新たにライン化し、それをMRL/1prマウスに繰り返し移入することにより同T細胞ラインに対する抗イディオタイプ抗体を誘導した。また同様に抗核抗体を産生するハイブリドーマ(Hy)が4種類得られた。Hy64はU1-70K蛋白を認識するモノクローナルIgMであり、患者抗U1-70K抗体を競合した。しかし免疫ブロット法(IB)では、Hy64-IgMは70kDa蛋白よりも45kDa蛋白に強く反応し、抗apoptotic U1-70K抗体とも異なった。興味深いことに、Hy64-IgMが認識するU1-70Kの抗原エピトープは他のウイルス抗原と相同性を有する部分(14a.a.)を含んでおり、Hy64-IgMは抗U1-70K抗体と交叉反応する抗ウイルス抗体である可能性がある。現在その真の対応抗原を検索中である。
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