研究課題/領域番号 |
17591043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
膠原病・アレルギー・感染症内科学
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2006) 神戸大学 (2005) |
研究代表者 |
小柴 賢洋 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70301827)
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研究分担者 |
中町 祐司 神戸大学, 医学部附属病院, 主任臨床検査技師 (80379429)
熊谷 俊一 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00153346)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 関節リウマチ / アデノシン受容体 / アデノシンデアミナーゼ / メトトレキサート / ラットアジュバント関節炎 / 動物モデル / 炎症性サイトカイン / 破骨細胞 |
研究概要 |
抗リウマチ薬メトトレキサートは細胞外アデノシン濃度を上昇させ、アデノシン受容体を介したシグナルが抗リウマチ作用を担うと報告されているが、詳細な作用機序は不明である。我々は、アデノシン分解酵素アデノシンデアミナーゼ(ADA)が関節リウマチ(RA)患者の関節液・滑膜細胞で高活性であるため内因性の細胞外アデノシン濃度低下によりアデノシン受容体を介した抗炎症作用がRA患者で減弱していること、さらにヌクレオシドトランスポーター阻害剤を関節炎ラットに全身投与し、アデノシンの細胞内への取り込みを阻害して細胞外アデノシン濃度を上昇させることにより関節炎が抑制されることを報告した。そこでADA阻害薬による新規RA治療のための基礎研究として関節炎モデルを用いてアデノシン分解抑制が関節炎に与える効果を検討した。Lewisラットにアジュバントを皮下投与し関節炎を誘導し、ADA阻害薬FR242685を右後踵部に連日投与した。関節炎誘導群では血中ならびに関節液中アデノシンの低下があったがADA阻害薬投与によりいずれも正常レベルまで回復した。また副作用は観察されず、アデノシンが正常レベルを越えないことが副作用を誘導しないという点で重要であることが示唆された。次いで関節炎に対する効果を検討したところ、血中アデノシンが正常化したことから予想される様に、ADA阻害薬投与群は非投与群に比べ投与局所のみならず全身の(1)関節腫脹の抑制、(2)骨破壊の抑制、(3)関節腔狭窄の抑制、(4)滑膜増殖および炎症細胞浸潤の抑制を認めた。さらにADA阻害薬投与群では非投与群と比較して関節局所のIL-6、RANKLのmRNA発現が有意に抑制され、これらがADA阻害薬投与に基づく関節局所アデノシンの増加による関節炎・骨破壊抑制機序の一つと考えられた。これらのことからADA阻害薬は理想的な新規リウマチ薬の候補と考えられる。
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