研究概要 |
近年、関節リウマチ(RA)やクローン病をはじめとした様々な難治性炎症性疾患に対して、抗TNF療法が大きな効果を示すことが明らかとなり、TNF-αの慢性炎症における重要性が改めて注目されている。 従来TNF-αの作用としては、可溶型が重要であると考えられてきたが、近年その前駆体である膜型TNF-αの作用が注目されている。我々は膜型TNF-αがT-B細胞間の細胞接着による免疫応答に重要な分子であることを初めて明らかにしてきた。すなわち活性化T細胞上の膜型TNF-αはi)B細胞に接着して抗体産生を誘導し、ii)膜型TNF-αが刺激を受けることによりT細胞自身がある種の接着分子やサイトカインの産生を誘導する。本研究の目的は、膜型TNF-αとその受容体(TNF-α受容体)の二つの分子に着目して、それぞれについて機能解析、シグナル伝達機構を明らかにすることにある。Infliximabからの内向きシグナルについて解析した結果を提示する。膜型TNFからの内向きシグナルとしてp53を介したシグナルに関与する分子(Dual specific phosphatases, PHLDA1, ITPKA)が重要であることをcDNAアレイを用いて明らかにした。これは定量的RT-PCRでも発現変化を確認した。またmTNFの刺激後に、CD69がmRNAレベルでも、タンパクレベル(FACS)でも増加していることが明らかになった。ウエスタンブロットを用いた検討でも変化を明らかにした。
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