研究課題
これまで、2種の抗葉酸リセプターβイムノトキシンを作成した。抗体36bをベースにしたイムノトキシンは緑膿菌外毒素(PE)と化学的結合させたイムノトキシンである。抗体94bをベースにしたイムノトキシンは抗体遺伝子とPE遺伝子を結合させたリコンビナントイムノトキシンで、今後臨床試験を計画している。これらの2種の抗ヒト葉酸リセプターβ抗体がアカゲサルの組織マクロファージの葉酸リセプターβに反応するか検討した。抗体36bは組織マクロファージの1部に反応したが、抗体94bは組織マクロファージに反応しなかった。そこで、リコンビナントイムノトキシン投与による実験的赤毛サル関節炎の効果は毒性試験のみになるため、実験的マウス関節炎でのイムノトキシンの効果を検討することにした。マウス葉酸リセプターβ遺伝子をクローニングし、ラット肥満細胞株に遺伝子導入後、ラットに免疫して9種のラット抗マウス葉酸リセプターβ単クローン抗体が得られた。これらの抗体はマウス葉酸リセプターαとは反応せず、マウス葉酸リセプターβ特異的抗体と考えられた。これらの抗体による葉酸リセプターβの発現を腹腔マクロファージ、脳、肺、脾臓、腎臓、腸、皮膚で検討したところ、腹腔マクロファージ、肺、腸の組織マクロファージにおいて反応性がみられたが、ヒトの同組織のマクロファージに比べて発現細胞は少なかった。これらの結果からサルやマウス組織での葉酸リセプターβ発現マクロファージは少なく、炎症において増加することが示唆された。現在これらの抗体を用いてイムノトキシンを作成中である。
すべて 2006
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Arthritis & Rheumatism 54(10)
ページ: 3126-34