研究課題
関節リウマチ(RA)患者滑膜の特徴は、血管新生、炎症細胞浸潤、および滑膜細胞の異常増殖である。特にRA患者由来の滑膜細胞は、単なる活性化ではなく、腫瘍様のtransformationを生じていると考えられている。そこで、RA滑膜細胞が血小板由来増殖因子(PDGF)などの特定の刺激によりanchorage非依存性の腫瘍様増殖を示す点に注目し、RA滑膜細胞の3次元培養系を確立した。軟寒天ゲルより生理的条件に近づけたコラーゲンゲル内で培養すると、RA滑膜細胞は無刺激では円形に近い形態をとるが、PDGF刺激により突起の著明な伸長という特異的な形態学的変化を示し、2次元培養と同様の紡錘状の形態をとりながら増殖した。しかもこの反応はT細胞との共培養で促進され、滑膜に浸潤したT細胞は滑膜細胞の3次元増殖を促進していることが明らかとなった(Arthritis Rheum,2006suppl)。また、このコラーゲンゲル内培養においてもimatinib mesylateはPDGF刺激による形態変化と増殖促進の双方を抑制した(Arthritis Rheum,2007suppl)。その作用機序として細胞骨格蛋白への寄与が示唆された。そこでrhodamine-phalloidin染色によるアクチンの変化を検討したところ、PDGF刺激によるアクチンの再構成がimatinibにより完全に阻害され、このことが形態変化や増殖に対する影響に関連していると考えられた(亀田秀人日本臨床免疫学会会誌,in press)。以上より、RAの病態におけるPDGFとT細胞の役割、ならびにimatinib mesylateのRA新規治療薬としての有用性が示され、imatinibの作用機序の1つに細胞骨格蛋白の機能変化があることが明らかとなった。
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Rheumatology 47
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