研究概要 |
【方法】(1)新たな筋炎特異自己抗体が認識する核酸成分および蛋白成分の分析:HeLa細胞抽出物を用いた免疫沈降法,免疫ブロット法などにより行なった.(2)hPMS1に対する自己抗体はin vitro transcription/ translationにより発現した,アイソトープ標識PMS1の免疫沈降反応により同定した.(3)筋炎特異自己抗体の関連病態の分析:教室と共同研究施設の4,500例の膠原病患者血清をスクリーニングし,かかる自己抗体と関連する臨床特徴を検討した. 【結果】(1)抗hPMS1抗体は,PM OL6例,DM2例,SSc1例,特発性間質性肺炎 1例に検出された.抗hPMS1抗体陽性11例中,9例(82%)に筋炎,6例(55%)に間質性肺炎と関節炎を認めた.(2)抗DNA-PKcs抗体はPM/DM 2例,PM-SSc2例,SLE2例,SSc1例に検出され,PM症例において高頻度に検出された.(3)抗Mi-2抗体は皮膚筋炎(DM)7例と多発性筋炎(PM)-強皮症(SSc)重複症候群(OL)1例に認めたが,SLE,SScでは検出されなかった.抗Mi-2抗体陽性8例において,間質性肺炎は1例(12.5%),関節炎は2例(25%)と低頻度であった。治療反応性では,1例は薬物治療を必要とせず寛解し,残りの7例でもステロイド治療で軽快し,治療反応性良好なDMと関連した.(4)抗SRP抗体陽性血清中に7SL-RNAを認識する自己抗体を見出した. 【結語】(1)抗hPMS1抗体はPM OLと関連し,間質性肺炎を高頻度に合併する特徴を示した.(2)抗DNA-PKcs抗体はPMとの関連が示唆された.(3)抗Mi-2抗体はDMの疾患標識抗体となり,間質性肺炎と関節炎の頻度が低く,治療反応性が良好な臨床サブセットを形成する可能性が示唆された.(4)7SL-RNAを認識する自己抗体の解析と臨床像との関連追究を,今後行う予定である.
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