研究課題
基盤研究(C)
関節リウマチは、関節に炎症が起こり進行により関節の変形、機能障害が起きる自己免疫疾患の1つである。その原因、発症機序について、これまで多くの精力的な研究により徐々に明らかになっているが、より効果的な治療法の確立のためにはさらに研究が必要な現状にある。LECT2は、申請者らがヒト好中球走化性因子として発見、クローニングした肝臓で特異的に産生されるタンパク質である。これまでの結果からLECT2は様々な生物活性を有するサイトカインとしての性質を持っていることが考えられている。以前、申請者らはヒトLECT2遺伝子が遺伝子多型Va158Ileを持ち、ヒト関節リウマチの重篤度との間に相関があることを報告した。そこで、サイトカインLECT2のヒト関節リウマチにおける作用機構を調べるために、マウスモデルとして知られる抗II型コラーゲン抗体誘導関節炎をLECT2遺伝子欠損マウスに誘導したところ重篤化することが判明した。関節局所の病理学的解析により、滑膜の増生、好中球の浸潤、フィブリン沈着、浮腫、軟骨、骨の破壊が遺伝子欠損マウスでは亢進していた。さらにLECT2遺伝子欠損マウスでは、関節局所でのIL-1β, IL-6の発現の亢進が見られ重篤化の原因の一つと考えられた。LECT2遺伝子欠損マウスに同関節炎を誘導し、遺伝子導入によりLECT2を肝臓に発現させたところ関節炎抑制効果が見られた。以上のようにマウス関節炎モデルにおいてLEST2の抑制効果が明らかとなった。関節リウマチ治療の1つとして様々なサイトカインがターゲットになっており、これらに加えてLECT2が診断、治療の新しいターゲットになる可能性がある。
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Arthritis & Rheumatism 58
ページ: 413-421
Arthritis, Rheumatism 58