研究概要 |
(1)ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)のN蛋白に対するモノクローナル抗体が2株(3D1,5B10)得られた。hMPVのN蛋白を組み込んだバキュウロウイルスを感染させたTn5細胞を抗原として、蛍光抗体間接法と免疫沈降反応を行い、2株のモノクローナル抗体のhMPVのN蛋白に対する反応性を確認した。hMPVは遺伝学的に大きく2系統に分かれることが知られているが、2株のモノクローナル抗体共、2系統のhMPVに感染した細胞と反応した。3D1抗体が膜に固相化され、液相にコロイド抱合5B10抗体を含むイムノクロマト法を開発した。十分な感度と高い特異性が得られ、hMPV感染症の迅速診断に応用可能と考えられる。 (2)遺伝学的にhMPVは大きく2系統、各々がさらに2系統、計4系統に分けられる。各々系統のG蛋白のアミノ酸配列は大きく異なっており、その抗原性も大きく異なっていると予想される。抗G蛋白抗体の中和活性の有無、hMPVの再感染に果たす抗G蛋白抗体の意義等を検索するために、hMPVのG蛋白を組み込んだ4系統のバキュウロウイルスを作成して、このバキュウロウイルスを感染させたTn5細胞を抗原とした蛍光抗体間接法を開発した。これを利用して、hMPV感染患者の血清中の抗G蛋白抗体価を測定中である。
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