アレルギー性気道炎症における気道リモデリングへの関与が報告されている線維細胞の性状を解析するためのin vitroの測定系の樹立を行った。その結果、従来報告されていたヒト末梢血単核球から線維細胞を培養する方法では、回収可能な線維細胞数が極めてすくないこと、さらに線維細胞のなかに血管内皮細胞へと分化した細胞が混入することが明らかとなった。そこで培養条件を検討し、フィブロネクチンをコートした培養プレート上で単核細胞を培養することが細胞の回収率を上げる上で重要であり、PDGFを培養開始早期から添加することが有用であることが明らかとなった。また、IL-1の添加では細胞回収率は増加するものの線維細胞への分化が抑制され単球が多くなること、VEGFの添加では線維細胞の回収量が増加するが血管内皮細胞の形質を示す細胞の割合も増加することが明らかとなった。PDGF存在下で誘導される線維細胞は、無添加の培養条件下で誘導される線維細胞よりα-smooth muscle actinの発現量が強く、さらにTGF-βの添加によりその発現が増強することが確認された。また、アレルギー性気道炎症でリモデリングに関わるサイトカインと考えられているIL-13によりα-smooth muscle actinの発現が増強することが確認された。これらの結果から気管支生検を実施することが困難な小児でも、末梢血から線維細胞を回収しその機能を解析することが可能となった。
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