現在、我々は、ヒトタンパク立体構造解析から得られてた薬剤分子の効果・副作用解析を行うために、ヒト体内では行い難い実験データを、ヒト類似反応を惹起できるマウスにて検証するシステム確立を目指している。 平成17年度、現在までに立体構造解析、立体構造に基づき薬剤開発を行ってきたヒトインターロイキン18を利用し、パイロット実験を行った。 まず、ヒト型レセプター遺伝子を導入するための遺伝子クローニング・ベクターを作成した。その次に、マウス型レセプターをノックアウトし、その後、発現調整領域を含めてヒト型レセプター遺伝子をノックインできる技術・方法について基礎的検討を行った。その際、ヒトインターロイキン18がマウスの体内で活性を持つために、レセプターα及びレセプターβの2種類の異なったヘテロ受容体の会合が必要であるために、導入に際しては両方のレセプターを各細胞において生理的に、特に、刺激に応じて発現が自己増幅的に誘導される機構の流れの中に入れた形で発現させることを配慮した。 以上と平行し、我々が多次元核磁気共鳴法(NMR)にて決定したIL-18原子座標等のデータをもとに候補にあげた低分子薬剤を対象として、現在までにすでに発現・精製法を確立済みであるリコンビナントタンパク質を利用し、現有するハイスループット分子間相互解析装置(蛍光相互作用解析装置及び表面プラズモン解析装置等)を用いた実際のスクリーニングを行った。
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