研究課題
現在、我々は、ヒトタンパク立体構造解析から得られた薬剤分子の効果・副作用解析を行うために、ヒト体内では行い難い実験データを、ヒト類似反応を惹起できるマウスにて検証するシステム確立を目指している。まず、ヒト型レセプター遺伝子を導入するための遺伝子クローニング・ベクターを作成した。その次に、マウス型レセプターをノックアウトし、その後、発現調整領域を含めてヒト型レセプター遺伝子をノックインできる技術・方法についての基礎的検討を行った。その際、ヒトレセプターがマウスの体内で活性を持つために、レセプターα及びレセプターβの2種類の異なったヘテロ受容体の会合が必要であるため、導入に際しては両方のレセプターを各細胞において生理的に、特に、刺激に応じて発現が自己増幅的に誘導される機構の流れの中に入れた形で発現させることを配慮した。一方、インターロイキンが調節を行う免疫反応の上流において、遺伝的背景による疾患感受性を規定する大きな因子となる、組織適合抗原(MHC)についても同様の検討を進めている。特に、ヒトにおける自己免疫疾患を強く規定するMHC群とそのMHCに認識される自己抗原タンパク由来のペプチドとの立体構造解析を進めた。この構造情報をもとに新規薬剤となりえる化合物を設計し、ヒト型レセプターを導入したマウスでの効果発現を検討してきている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Allergol International 55
ページ: 49-54