研究課題/領域番号 |
17591087
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
虫明 聡太郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90291947)
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研究分担者 |
近藤 宏樹 大阪府立母子保健総合医療センター, 環境影響部門, 主任研究員 (10373515)
大薗 惠一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20270770)
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キーワード | Grb10 / チロシンキナーゼ型受容体 / SH2ドメイン / 肝硬変 / 偽胆管 |
研究概要 |
平成17年度に続いて動物肝障害モデルでの肝臓におけるGrb10の発現量の変化と局在についての研究を行った。まず、DMN、およびCCl4投与モデルマウスを既成のプロトコールに基づいて作成した。しかしながらいずれも投与量依存性にマウスの致死率が高く、低投与量群を設定して長期投与実験を行ったが、結果的に検討に供しうる肝硬変には至らなかった。そこで、総胆管結紮(CBDL)による肝硬変モデルに変更し、抗Grb10抗体にて免疫染色を行ったところ、昨年報告したヒトの硬変肝での結果とは異なり、領域特異的な染色像は得られなかった。一方、RT-PCRによりGrb10の発現を確認したところ、DMNマウス肝、CBDLマウス肝と同様に成体正常マウスでもGrb10の発現が認められ、発現量に明らかな差を認めなかった。文献的にはマウスにおけるGrb10の発現は胎生期の肝で認められるものの成体では非常に低いと報告されており、我々が得た結果はこれと異なるものであった。 次に、ラット肝星細胞(HSC)を単離、myofibroblastへの形質変化を確認し、これと肝細胞におけるGrb10の発現をRT-PCRおよびWestern blotにより検討した。その結果、肝細胞、myofibroblastの何れにもGrb10 mRNAの発現が認められ、蛋白発現についても肝細胞での発現が確認された。 ここまでの検討より、マウスにおけるGrb10の正常肝、および傷害線維化肝における発現は、必ずしもヒトの病態を検討するに相応しい局在を有さない可能性が考えられた。一方、ラットではDMN線維化モデルにおいてヒトと相同なGrb10 mRNAの局在が確認された。ラットHSCを用いた培養系における実験環境はヒトの病理病態を完全に反映するものではないが、今後のGrb10結合蛋白の検索を進める対象となりうると考えられた。
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