LRRC8欠損マウス(ノックアウトマウス)の作成 われわれはすでに顔面小奇形を有する無ガンマグロブリン血症の患者より、その原因遺伝子であるLRRC8(leucine rich repeat-containing 8)を単離・同定している。LRRC8は、16個のluecine rich repeatsをその細胞外に有する4回膜貫通型の蛋白をコードしており、この患者では遺伝子変異のため最もC端側のleucine rich repeatが欠失するために、無ガンマクロブリン血症をきたしていることが判明した。この原因遺伝子LRRC8欠損マウスを作成するために、LRRC8の全長を欠失した遺伝子アレル(ターゲッティングベクター)とポジティブコントロールベクターを作製した。ES細胞へトランスフェクト後に目的とする欠損遺伝子をPCR法でスクリーニングために、いくつかのプライマーの組み合わせを用いてPCRの条件設定をおこなった。そのうえで、Germ lineへのトランスミッションが証明されているES細胞へターゲッティングベクターをトランスフェクトした。薬剤による選択により約200個のクローンを拾い上げ、24穴プレートに植え継いだ上で、それぞれ一部を凍結保存すると同時にゲノムDNAを調製した。このDNAをPCR法によりスクリーニングした後、陽性クローンを起こして再度増殖させ、サザンプロッティング用にDNAを調整した。陽性クローンについてこのDNAを用いて、ターゲッティングベクターの外側の領域をプローブとしたサザンプロッティング法により、短腕側及び長腕側の2ヵ所で正しく相同組み換えが起こっているかを検討した結果、正しい相同組み換えを持った1クローンを同定した。
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