研究概要 |
本年度は研究計画書に記載した1.研究対象とコントロールの設定と,2.strain gauge plethysmographyを用いた全身血管の血管内皮機能評価を実施した. 成人期(15歳以上)のチアノーゼ型心疾患8症例において内皮機能に影響を与える活性物質としてエリスロポエチン,vascular endothelial growth factor(VEGF),酸素ストレスマーカーとしてmalondialdehyde-modified low-density lipoprotein(MDA-LDL),8-hydroxyguanosine(8-OHdG)を,血管内皮活性化の指標としてintercellular adhesion molecule-1(ICAM-1),von Willebrand因子(因子活性),トロンボモヂュリン,エンドセリン,全身NO基礎産生を評価するためにクレアチニン補正した尿中NO(代謝産物(NOx)を測定した.さらに同一症例でstrain gauge plethysmographyを用いたハンドグリップ負荷を行い,負荷時の血流増加反応を測定評価した. 現在のところ症例数の影響で統計学的有意差は確認できていないが,1.チアノーゼ群ではハンドグリップ負荷における反応性充血がコントロール群と比較し低下しており,2.その程度はチアノーゼの程度(動脈血酸素飽和度)相関する可能性が示唆されている.さらに3.反応性充血が不良の症例では血中のICAM-1濃度が240〜350ng/mlと著明に上昇している例があり,チアノーゼ心疾患の血管内皮機能異常が酸素飽和度のみならず,血管ずり応力と関連している可能性が示唆されている.平成18年度にはこれらのデータと冠動脈造影所見を組み合わせチアノーゼ心疾患における冠循環と血管内皮機能との関連を検討する計画である.
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