研究概要 |
平成18年度は研究計画書に記載した2.strain gauge plethysmographyを用いた全身血管の血管内皮機能評価,および3.冠動脈造影を用いた全身血管内皮機能と冠動脈内規機能の関連について研究を実施した. チアノーゼ型心疾患例において内皮機能に影響を与える活性物質としてエリスロボエチン,vascular endothelial growth factor (VEGF),酸素ストレスマーカーとしてmalondialdehyde-modified low-density lipoprotein(MDA-LDL),8-hydroxyguanosine (8-OHdG)を,血管内皮活性化の指標としてintercellular adhesion molecule-1(ICAM-1), von Willebrand因子(因子活性),トロンボモヂュリン,エンドセリン,全身NO基礎産生を評価するためにクレアチニン補正した尿中NO代謝産物(NOx)を測定した.これらの症例でstrain gauge plethysmographyを用いたハンドグリップ負荷を行い,負荷時の血流増加反応を測走評価した.さらにカテーテル検査が可能であった症例では冠動脈造影もしくは大動脈造影による冠動脈径を測定し,心周期における拡張期径と収縮期径より進展率を算出し,上記因子との関連を検討した.. これらの検討により以下の項目が明らかとなった.1.チアノーゼ群ではハンドグリップ負荷における反応性充血がコントロール群と比較し低下しており,2.その程度はチアノーゼの程度(動脈血酸素飽和度)相関する可能性が示唆された.さらに3.反応性充血が不良の症例では血中のICAM-1濃度が240〜350ng/mlと著明に上昇している例があり,チアノーゼ心疾患の血管内皮機能異常が酸素飽和度のみならず,血管ずり応力と関連している可能性が示唆された.
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