研究概要 |
平成18年度研究計画予定に基づく進行状況 (1)検体の採取 急性散在性脳脊髄炎例集積のために、小児神経学会評議員の勤務する90施設および全国の78大学病院神経内科に対して、書面で研究への参加を呼びかけた。本研究への参加に同意した施設に対しては、われわれと共同で、遺伝子倫理委員会への本研究の申請を行った。平成18年度末までに15施設が倫理委員会の承認を得ている。現在、各施設で文書による同意を得たADEM患者より血液を採取し、細胞保存、DNA保存、RNA抽出、cDNA作成を行っている。 (2)ADEM患者のデータベースの作成 上記倫理委員会の審査を終了した施設から、同意を得たADEM患者の臨床資料を収集し、データベース化している。18年度末までにADEM24例(男13女11)を集積した。平均発症年齢は7.6歳(11か月〜26歳)で、18例が感染後、3例が予防接種後であった。75%に発熱を認め、歩行障害(54%)、意識障害(50%)で発症し、軽度の炎症所見(白血球数平均9,950/μl、CRP平均0.54mg/dl)と髄液細胞増多(平均99/μl)を認めた。全例で大脳白質病変を認め、皮質下と脳質周囲の頻度はともに65%であった。全例ステロイドパルス療法が施行され、全例有効であった。後遺症は4例で認められた。ADEM患者の臨床的特徴については第8回国際神経免疫学会(Oct 15-19,2006,Nagoya, Japan)で発表を行った。 (3)遺伝子多型解析 ADEM患者のDNAを用いて、多発性硬化症との関連が報告されている遺伝子について遺伝子多型解析を行った。多発性硬化症の代表的な疾患感受性遺伝子であるCTLA4遺伝子の相関解析では、患者群と対照群との間に統計的有意差は認められなかった。また、遺伝子型毎に臨床的特徴の解析を行ったが、遺伝子型間に有意な差は認めなかった。
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