乳児喘息の早期診断・治療、そして発症予防のためには乳児喘息の病態を解明することが重要であると考え、感染と乳児喘息の発症との関連を明らかにすることをin vivo、in vitroの系両方を用い計画した。まず、この研究期間中に、 1)ウイルス感染による炎症において、重要な役割を果たすサイトカインIL-18が、ヒト好塩基球KU812細胞におけるロイコトリエン産生を増強することを示し、ウイルス感染とアレルギー炎症の関連を証明し、報告した。 2)これまでは学童期以降の異型肺炎の原因と考えられていたChlamydia pneumoniae感染が乳児喘息発症に関連していることを、患児血清中の抗体価を用いて検討し確認し、報告した。さらに異型肺炎の原因菌であるマイコプラズマやクラミジア感染により乳児喘息が発症する可能性を示唆する論文を報告した。 3)また実験進行中であるが、感染刺激に反応するTLRを介した刺激に対して、喘息患児は、その反応(TLRレセプターを介したシグナルや、他のTLRレセプターのmRNA発現)が正常コントロールと異なる点があることを見出し、報告中である。乳児喘息における自然免疫とLT産生・アレルギー炎症の接点の解明をさらに計画中であるが、気管支喘息発症における病原体に対する反応不良(いわゆる微細な免疫不全とでもいった方がよいか?)を検討・研究継続中である。
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