研究概要 |
腸管凝集性大腸菌042の病原プラスミド上のshf遺伝子の機能解析 腸管凝集性大腸菌(enteroaggregative Escherichia coli,EAEC)は、持続感染に関与する厚いバイオフィルム形成を特徴とする。その病原プラスミド上の遺伝子群、shf,capU,virK(cap locus)の遺伝子ノックアウトを行い、機能解析を行った。マイクロタイタープレートアッセイとバイオフィルム形成能は、0.45%グルコース添加DMEMと24穴ポリスチレンプレートを用い、吸光度OD_<600>で定量化した。マイクロタイタープレートアッセイにおいて、沈降付着した菌体数は042野生株、shf,capU,virK欠損株ともに全て同程度であった。しかし、バイオフィルム形成能については、sbf欠損株(OD_<600>:0.230±0.007)が、042野生株(0.564±0.022)に比べて著明に低下していた。一方、capU欠損株、virK欠損株のバイオフィルム形成能は、042野生株と同等であった。shf遺伝子のコンプリメント株は、042野生株と同程度までバイオフィルム形成能を回復した。shf遺伝子の転写は、野生株に比べて転写因子aggR欠損株で著明に抑制された。一方、aggRコンプリメント株では、aggRの転写増強条件で、shf遺伝子の発現が明らかに増強した。以上の結果より、shf遺伝子がEAEC042株のバイオフィルム形成に重要であることが明らかになった。また、shf遺伝子がAggRに正に制御され、AggR regulonのひとつであることが明らかになった。
|