研究課題/領域番号 |
17591106
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
白石 公 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (80295659)
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研究分担者 |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (60189602)
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (00305575)
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キーワード | アポトーシス / 心不全 / 先天性心疾患 / 遺伝子導入 / 生存シグナル / 心肥大 / トランスジェニックマウス / 核移行 |
研究概要 |
心不全の発症および進展にはアポトーシスによる心筋細胞死が関与していると考えられている。IGF-1やPDGFなどの様々な成長因子は、心筋細胞においてPI3-kinaseやAktを介して心筋細胞を生存維持に導く。Aktを細胞内で強制発現させて心筋細胞をapoptosisから保護する試みはこれまでにもなされてきた。Wild typeのAktを心筋細胞で強制発現させてもkinase activityは極めて低く抗apoptosis作用を示さない事実から、恒常活性型Aktが広く用いられてきた。しかし恒常活性型Aktは各種のストレスに対して有意にapoptosisを抑制するものの、癌化シグナルに基づく生理的範囲を超えた著しいkinase activityのために、心臓に遺伝子導入すると肥大型心筋症をきたしマウスは突然死してしまう。そのため恒常活性型Aktを慢性心不全の遺伝子治療に用いることにはできない。そこで我々はAktの最も重要なtargetが核である事実より、Aktを核内で発現させるために正常型(wild type)Aktの3'末端に核移行シグナル(NLS)をつけ、心筋特異的に発現するトランスジェニックマウス(Akt-nuc)を作成した。Akt/nucは心肥大をきたすことなく正常に発育し、虚血-再還流障害モデルにおいて心筋梗塞巣を有意に縮小した。またマウスに胸部大動脈縮窄による心肥大を誘発させると、Akt/nucでは対照に比べて心肥大が抑制されることが確認された。この心肥大抑制効果としては、Akt/nucマウスの心筋細胞では対照に比べてANPの発現が上昇しており、ANPが心肥大抑制効果に働いている可能性が示唆された。共同研究者とともに論文を投稿中である。
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