研究課題/領域番号 |
17591109
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
新宅 治夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00206319)
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研究分担者 |
塩見 進 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30170848)
山野 恒一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20093172)
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キーワード | micro PET / BH4 / HIE / ビオプテリン / 新生児仮死 / 低酸素性虚血性脳症 / NOS / NO |
研究概要 |
1.HIE新生仔ブタモデルの作成:生後1-3日のミニブタを、腹壁静脈よりルートを確保し、プロポフォール麻酔下に気管切開し人工換気を行う。低酸素は酸素と窒素の混合で6%酸素濃度を作成し人工換気装置で付加をした。虚血は両側頸動脈に動脈クリップで止血した。HIE群:低酸素・虚血負荷は45分間行い、負荷後は酸素、強心剤等を投与して蘇生した。温熱ブランケットを用いて口腔内体温はブタの平熱である38.5℃に維持した。HIE-低体温群(LT)群:HIE群と同様の負荷を行った後、温熱ブランケットを巻かずに、体温を35.5℃に維持した。LT群:低酸素・虚血負荷を行わず、体温を35.5度に冷やした。コントロール(CTL)群:低酸素・虚血負荷、冷却とも行わない。 2.各群の新生仔ブタについて、micro PETによる脳の糖代謝動態の検討を行った。新生児ブタはコントロール群でも取り込みが少ないため、睡眠や麻酔の影響について検討し、無麻酔で覚醒した状態でFDG microPETを行った。その結果、低酸素虚血負荷による取り込みの低下をわずかに認めることができた。 3.各群の新生仔ブタについて、動脈ラインより採血し、pH、BE、PaCO2、PaO2を測定し低酸素虚血負荷を重症群と軽症群に分類した。軽症群では血中ビオプテリンの上昇はあまり見られず、重症群では有意な血中ビオプテリンの上昇を認めた。しかし髄液と脳ではビオプテリンの上昇は認められなかった。 4.脳の組織科学的検討で、重症群では大脳皮質の神経細胞にiNOSの出現が認められたが軽症群では認められなかった。 以上の結果より、新生児ブタのHIEモデルでは、重症仮死群で大脳にiNOSの出現が認められたがビオプテリンの増加が認められず、iNOSにより産生されたNOがテトラヒドロビオプテリンが少ないためONOO-となり組織障害性に働き、脳細胞のグルコース取り込みが低下したと考えられた。この現象は、microPETの画像でFDGの取り込みの減少として認められた。
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