研究課題
基盤研究(C)
1.昨年と同様の方法でHIE新生仔ブタモデルの作成した:実験中は温熱ブランケットを用いて口腔内体温はブタの平熱である38.5℃に維持した。HIE-低体温群(LT)群:HIE群と同様の負荷を行った後、温熱ブランケットを巻かずに・体温を35.5℃に維持した。LT群:低酸素・虚血負荷を行わず、体温を35.5度に冷やした。コントロール(CTL)群:低酸素・虚血負荷、冷却とも行わない。2.各群の新生仔ブタについて、micro PETによる脳の糖代謝動態の検討を行った。新生児ブタはコントロール群でも取り込みが少ないため、無麻酔で覚醒した状態でFDGを投与し脳への取り込みが終了後にプロポフォール麻酔下にmicroPETを行った。その結果、今年度は低酸素虚血負荷による取り込みの低下を明らかに認めることができた。3.各群の新生仔ブタについて・HIE群とLT群で動脈ラインより採血し、pH、BE、PaCO2、PaO2を測定し低酸素虚血負荷の程度を比較し同等の負荷がかかっていることを確認した。LT群では血中ビオプテリンの上昇はあまり見られず、HIE群では有意な血中ビオプテリンの上昇を認めた。しかし髄液と脳ではビオプテリンの上昇は認められなかった。4.脳の組織科学的検討で、HIE群では大脳皮質の神経細胞にiNOSの出現が認められたがLT群では認められなかった。5.脳の組織化学的検討で、HIE群ではNOの産生が増加していたが、LT群ではNOの増加は認められなかった。以上の結果より、新生児ブタのHIEモデルでは、NOが増加し大脳にiNOSの出現が認められたがビオプテリンの増加が認められず、iNOSにより産生されたNOがテトラヒドロビオプテリンが少ないためONOO-となり組織障害性に働き、脳細胞のグルコース取り込みが低下したと考えられた。この現象は、microPETの画像でFDGの取り込みの減少として認められた。
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