研究課題
近年、特発性ネフローゼ症候群はslit diaphragmの機能異常と考えられるようになった。したがって教科書的学説とも云えるcharge barrier機能障害とネフローゼ症候群の発症との関係に新たな視点が必要である。われわれは分子のサイズと三次構造が類似し等電点が大きく異なるIgGとIgA分子に注目しこれらのdifferential clearance(CIgA/CIgG : charge selectivity index ; CSI)を用いてIgA腎症(IgAN)、紫斑病性腎炎(HSPN)、膜性増殖性腎炎(MPGN)、Alport症候群などの腎炎群、巣状糸球体硬化症(FSGS)、フィンランド型先天性ネフローゼ症候群(FCNS)、ステロイド反応性ネフローゼ症候群(SSNS)などpodocyte disease群の尿蛋白におけるcharge selectivityを検討した。その結果CSIは腎炎群において1前後を示しcharge barrierが機能していないこと、Podocyte disease群では0.4前後でcharge barrierが機能していることを証明した。SSNSにおいてcharge barrierがある程度機能していることはcharge barrier障害説よりもslit膜傷害を支持する結果といえる。しかし他方では正常糸球体のcharge barrier機能と比較する必要が生じたためDent病患者のCSIを測定した。その結果Dent病のCSIは0.2前後を示しpreliminaryなデータではあるがSSNSでは正常糸球体と比較してcharge barrier機能が低下していることが示唆されている。今後はGBMのフィルターとしての機能についてさらに踏み込んだ研究が必要である。
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