研究課題
基盤研究(C)
目的:神経芽腫はp53遺伝子の変異がほとんど認められない腫瘍の一つである。しかし、最近の報告では、神経芽腫の約2%にp53の変異が存在することが判った。我々の研究においても神経芽腫細胞株30種類のうち6種類において機能消失したp53の変異を認めた。その中で、SK-N-ASはN-mycの増幅および1p lossがないにも関わらず薬剤耐性を示した。神経芽腫のBMPあるいはシスプラチン等に対する反応性ならびにp53等の関与を検討した。特に、SK-N-ASの新しいp53の構造を見出しその機能解析を行った。方法および結果:SH-SY5YおよびSK-N-ASを用いてシスプラチン処理による変化をMTTアッセイ、TUNEL染色およびFACScanにより検討したところ、SH-SY5Yはシスプラチン処理により細胞死が誘導されることが判ったが、SK-N-ASは、細胞死は誘導されず細胞増殖抑制が認められた。次に、シスプラチン処理によるp53およびその下流遺伝子の解析を行った。SH-SY5Yはシスプラチン処理によりp53,p21^<WAF1>,Bax,PUMAの発現誘導、p53の15番目のセリンのリン酸化が認められたが、SK-N-ASはp21^<WAF1>の発現増加のみであった。SK-N-ASをBMP処理した場合も細胞死は認められず、細胞増殖抑制が誘導された。SK-N-ASのp53の構造をRT-PCR法、PCR法およびアレーCGH法によって解析した。その結果、核移行配列を含むC末端のホモ欠失が示唆された。C末端欠失のp53を作成し、SK-N-ASに過剰発現させp53の細胞内局在性を検討した。導入された変異型p53は核には殆ど認められなかった。以上の結果から、SK-N-ASの新しいタイプのp53(ホモ欠失)を見出し、神経芽腫のp53ステイタスによりシスプラチンに対する反応性(細胞死あるいは細胞増殖抑制)が異なる可能性が示唆された。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (12件)
Biochem Biophys Res Commun. 354
ページ: 892-898
Biochem. Biophys. Res. Commun. 354
FEBS Lett. 580
ページ: 627-632
Oncogene
ページ: 5046-5055
Oncogene 25
oncogene 24
ページ: 3385-3396
Cancer Cell 7
ページ: 337-350
Cancer Lett. 228
ページ: 5-11
Oncogene 24