平成17年度には進行性ミオクローヌスてんかんの病因であるDRPLAでの酸化ストレスの関与を明らかにし、平成18年度には難治性年齢依存性てんかん脳症であるWest症候群(WS)・Lennox Gastaut症候群(LGS)の剖検脳での解析により中脳の神経細胞に過酸化脂質の蓄積が亢進していることを見出した。本年度は初発WS患者においてELISA法による生体資料測定を行った。生後5〜18カ月のWS小児11名(潜因性7例、症候性4例)と年齢相当のけいれんを呈さなかった対照から、医療機関の倫理委員会による承認と保護者の同意を得た上で髄液・尿検体の提供を受けた。日本老化制御研究所製ELISAキットを用いてDNAの酸化ストレスマーカー8-Hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)と初期・後期段階の脂質酸化ストレスマーカーヘキサノイルリジン(HEL)・アクロレインをバイオラド社製モデル680で定量した。症候性4例中3例で8-OHdGの高値が、また、潜因性・症候性の各2例ずつでHELの高値が認められた。前年度の解析結果と合わせてWS/LGSのけいれん発作の難治化における脂質の酸化ストレスの関与を明らかにした(投稿中)。さらに難治の低血糖発作を呈し病理学的に両側大脳皮質のFocal cortical dysplasia類似形成異常を認めた男性患者の大脳皮質・視床下部病変を免疫組織化学的に検討し発作の発症機序を考察するとともに、片側巨脳症に結節性のGanglioglioma様形成異常を合併し脳腫瘍が疑われた幼児例の手術標本を神経病理学的に解析した。上記の研究成果はともに第41回日本てんかん学会(2007年11/1-2福岡)にて報告した。
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