研究概要 |
平成18年度における主たる成果は,以下の通りである. 1.SHOX遺伝子発現調節領域の決定 SHOXは,ターナー症候群における成長障害と骨格徴候の責任遺伝子である.われわれは,既にSHOX半量不全に特徴的なLeri-Weil型軟骨骨異形成症患者40例以上を解析し,33例においてSHOXを含む微小欠失を,3例において遺伝子内変異を同定した.さらに,残る4例においてSHOX遺伝子から3'方向へ約150kb離れた39kb領域が共通して欠失していることを見いだした。その後in silico解析により,この39kb領域内に種を越えて保存されている領域を6カ所同定した.さらに,ルシフェラーゼァッセイにより,この保存領域の中の約300bp領域にSHOX発現調節領域が存在するというデータを得た.この成績は、この共通欠失領域内にSHOX発現調節配列が存在し、その欠失がSHOXの発現異常を招いた可能性を示唆するもので,発現調節異常症という概念を提唱しうるものである. 2.SHQX遺伝子導入マウスの作製 われわれは,全配列を合成することで,完全長SHOX cDNAを得た.SHOXは四肢遠位部の限局された部位のみで発現するためcDNAl ibraryから採取することができなかった.そこで,上記完全長SHOX cDNAを用いたSHOX遺伝子導入マウスを5ライン作製した。現在、各ラインにおいて発現量と導入されたコピー数を解析中である。この遺伝子導入マウスは、上記の発現調節機構の解析とともに、性ステロイド欠乏と組み合わせることで成長障害の遺伝子治療の道を開くものでる。
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