ニューログリカンC(NGC)は神経祖期に発現するコンドロイチン硫酸であり、主に樹状突起のフィロポデアに局在する。 上皮細胞をはじめとした多くの細胞は、側底側と頂端側と呼ばれる極性を持つ。これらは、神経細胞で樹状突起と軸索にそれぞれ対応することが知られている。この二つの細胞領域は異なる細胞機能を有するが、それに伴い各領域を構成する蛋白質も大きく異なる。この蛋白質の局在は、細胞内分子輸送により形成される。これまでに幾つかの膜貫通分子は、その細胞内領域に輸送小胞を形成するシグナルを有し、そのシグナルを認識する輸送分子と結合して細胞内の特定の領域に輸送されることが知られている。そこで、本年度は、NGCの輸送機構を調べる目的で解析を行った。細胞内の小胞輸送に関与する分子に対する抗体を用いて免疫沈降を行い、NGCと結合しうる輸送分子の同定を行った。その結果、Adaptinと呼ばれる細胞内輸送関連分子とNGCの分子結合を見いだした。Adaptinはヘテロテトラマーを形成し、輸送小胞の構成分子であるクラスリン分子と輸送分子の結合を仲介するアダプター分子である。 以上の結果から、NGCはクラスリン被覆小胞によりゴルジ体から細胞膜に輸送されると考えられる。
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