研究概要 |
胎児および出生後の児の成長に強く関与しているIGF1、IGF2、及びそれらの受容体のSNPsとそれにより構成されるハプロタイプと胎児発育の関連を調べた。 在胎35週以上の新生児134名とその母親を対象に、IGF1、IGF2、IGF1R、IGF2R遺伝子に存在するSNPsを用いて、健常成人16人のDNAで連鎖不平衡解析を行いそれぞれ3つのtag-SNPs (IGF1:rs35767,rs2288378,rs2072592.IGF2:rs1003484,rs3741211,rs3741206. IGF1R : rs3743263,rs2272037,s2293117)を抽出した。IGF2R遺伝子は連鎖不平衡が保たれていなかった。膀帯動脈血及び母体末梢血から抽出したDNA用いて、選択したtag-SNPsで構成されるハプロタイプをそれぞれ決定し解析した。結果は以下の通りであった。 1.IGF2遺伝子において父親由来ハプロタイプCTGが有意にsmall for gestational age (SGA)群において多かった。また父親由来のハプロタイプCTGをもつ児は有意に在胎期間が早かったが、出生体重、出生体重のSDS、出生身長、Ponderal index、胎盤重量が小さかった。 2.IGF1遺伝子においてはハプロタイプTGGが有意にheavy for gestational age (HGA)群に多く、このハプロタイプをもつ児は有意に出生体重が大きかった。 3.IGF1R遺伝子においてはハプロタイプTAAが有意にHGA群に多かったが、このハプロタイプの有無で出生体重に差を認めなかった。 以上の結果からIGF2遺伝子の父親由来ハプロタイプCTGは胎児胎盤発育不全に関係し、IGF1遺伝子のハプロタイプTGGは胎児発育促進に関係することが示唆された。
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