研究課題
基盤研究(C)
本研究は、エストロゲン作用を有する様々な内分泌撹乱物質に胎児期・新生児期の暴露がその後の中枢神経系の発達にいかなる影響をもたらすかについて、検討を加える目的で行うものである。中枢神経細胞におけるエストロゲンのアポトーシス抑制効果について、神経細胞初代培養系を用いグルタミン酸(Glu)負荷による神経細胞のアポトーシスがいかなる機序で発症しているのかを検討した。その結果、(1)Glu負荷によりアポトーシスは誘導され、caspase3、caspase9活性の上昇、BaxのMitへの移行、Mitからのcytochrome cの放出がみられること、(2)Bax抑制ペプチドであるBIPの投与により、Glu毒性による神経細胞死を抑制し、さらにcaspase3、caspase9活性は抑制され、Baxとcytochrome cの細胞内移行も抑制していた。この結果、Glu負荷よる神経細胞のアポトーシスはBaxを介することを明らかとした。続いて、脳室周囲白質軟化症の発症に深く関与していることが知られているオリゴデンドロサイト(OLの細胞障害がエストロゲンあるいはエストロゲン作用を有する内分泌撹乱物質により変化を受けるか否かを検討するために、その前段階としてOL前駆細胞の細胞培養系を確立し、OLの至適培養条件を検討したところ、通常の培養条件に比べて、低温培養のほうが細胞増殖能が優れていることを明らかとした。さらに、この低温培養条件下でのOL増殖能の変化における細胞内シグナル伝達の変化を、DNA microarrayにより検討し、cyclin D1/D2,などの細胞周期関連遺伝子の発現量に変化があること、また蛋白レベルではERK1/2のリン酸化が誘導されることも確認した。しかも、現在新たにこれまで細胞増殖とは直接的な関連が指摘されていなかったいくつかの膜蛋白の発現調節が起こっていることも明らかとなり、今後、これらの変化がエストロゲンや内分泌撹乱物質によりどのように変化するのか、興味が持たれる。
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