【背景】子宮内胎児発育不全(IUGR)の出生後の栄養状態の違いが中枢神経に及ぼす影響は未だ不明であり、中枢神経障害の改善につながるIUGRに対する出生後の理想的な栄養管理に関して検討した。 【方法】SD系ラットの母獣の腹腔内に、合成トロンボキサンA2を20ng/時で持続投与をしてIUGRを作成した。通常栄養IUGR群、栄養障害IUGR群、栄養改善IUGR群の3群に分けてアポトーシス関連蛋白について検討を行った。アポトーシス関連蛋白の発現については、日齢0にコントロール群とIUGR群、日齢7にコントロール群とIUGRの各3群がら脳を採取し、大脳、小脳、海馬におけるBCL-2、BAX、β-actinの発現を検討した。 【結果】日齢7の平均体重はコントロール群が12.98g±0.89、通常栄養IUGR群が10.67g±1.18で通常栄養IUGR群がコントロール群に比べて有意に小さかった。日齢7で栄養障害IUGR群の平均体重は9.38g±1.16、栄養改善IUGR群は11.89g±1.09で、通常栄養IUGR群と栄養障害IUGR群、栄養改善IUGR群と通常栄養IUGR群を比べると、それぞれ後者の方が有意に小さかった。日齢7の栄養改善IUGR群の体重はコントロール群よりも有意に小さく、生後の栄養改善でも日齢7までは追いつくことがなかったアポトーシス関連蛋白の発現に関しては、BAX、β-actinの発現に関しては、3群間で有意な差を認めるには至らなかった。BCL-2はすべての群で認められなかった。 【考察】生後の栄養の差異により、日齢7ではそれぞれの群で体重に有意な差を認めることができたが、アポトーシス関連蛋白の発現には各群で差を認めなく、中枢神経障害の機序解明には更なる詳細な検討が必要と考えられた。
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