肺洗浄によるサーファクタント欠乏動物モデルを用いた研究から、高頻度振動換気法(HFO)は従来の換気法(CMV)に比べ肺損傷が少ないことが示されている。このCMVによる肺損傷には、多核白血球、PAFなどのメディエータ、TNFαなどのサイトカインが関与している。CMV換気後のTNFαなどサイトカインの産生に、CMVによる肺のstretchを契機として各細胞の細胞内転写因子であるnuclear factor-κB(NF-κB)の活性化が関与するとの仮説の下実験を行った。 【方法】内因性サーファクタント欠乏動物モデルとして妊娠27日の日本白色種未熟ウサギ胎仔を用いた。帝王切開により得た胎仔を無作為にCMVで換気する群(CMV群)、HFOで換気する群(HFO群)、換気しない群(コントロール群)の3群に分けた。CMV群、HFO群に対し18Gの留置針にて気管を穿刺し固定後FiO2 1.0、MAP16cmH2Oにて1時間の換気を行い、換気後心穿刺にて採血し血液ガス測定後屠殺、全肺を摘出した。摘出した肺のNF-κBの活性をWestern blot analysis及び、Southwestern histochemistryにて比較した。 【結果】Western blot analysisでは、NF-κBの活性はHFO群に比べCMV群で強く認められた。また、Southwestern histochemistryでは、CMV群にのみ強く核が染色されている細胞が認められた。 【考察】本実験において人工換気(CMV)による機械的な力が未熟ウサギの肺内でNF-κBを活性化させたと考えられた。しかし、Southwestern histochemistryの結果からは、染色された細胞が肺胞上皮細胞なのかマクロファージなのか判別することはできなかった。
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